疲れるのでクリニックの立会いは極力ことわっているのだけれど、たまにVIPの患者さんが来る時にはどうしても行かないといけないことがある。

ここ数年のおつきあいで、フィリピンのいわゆる大物政治家。

この人が来院する時には必ず呼ばれることになっている。
担当の歯医者も必ず同じ人で、若い女医さんなんだけれど、見ていると結構な高齢のこのお方を子供でも扱うように接している。

「はーい、麻酔の注射しますね〜。看護師さんに手を握っててもらいますからがまんしてね〜」

多分この強面のお方もその扱いが気に入ってるようで、この女医さんじゃないとダメらしい。
絶対外では見せられない顔なんだろうな・・・

来院時には警察官が護衛で数名付いて来て、クリニック周辺で待機しているし、治療室には女性秘書がいつも同伴。

その日は、ちょっとしたチェックのための来院で、いつものように黒塗りのSUVで到着。

治療自体は短時間で済んだのだけれど、いつもとちょっと違うのは秘書が黒いアタッシェケースを持っている。

いつもならクラッチバッグだけなのに、なんか大事なものが入っているんだろう。

治療後チェアーからおりたそのお方がおもむろにアタッシェケースを秘書から受け取り開け始める。

自分の道具を片付けながらチラチラ気にしていると、そのケースからなにやら取り出し、女医さんに渡している。

ちょっと困り顔の女医さんの手に握らされていたものは・・・・


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今ちょうど円がペソに対して高くなっているけれど、それでも日本円に換算して100万円強。

フィリピンの最高額紙幣はご覧の1000ペソ札なので、その厚みたるや日本円の100万の5倍の厚み。

こんなお金見たことないね、といいながらみんなで写真撮影して来た。

その部屋には当時他に2人のアシスタントの子もいたし、女医さんも勤務医の身。

そのままクリニックのオーナーに困惑顔で連絡し、どこかに持って行っていた。

こんなお金をポンとどうにかできる身分になってみたいもんだね。