以前に書いた偽ロレックスのつづき。

嫁さんと結婚式らしいものをそういえば挙げていない。
結婚にたどり着くまでに予想外に時間もお金もかかりすぎて、というよりも日本人と結婚するのとはまた話が違うわけで、自分の常識をいろいろと覆されることが多かったというべきか。

晴れてフィリピンで結婚の書類をとりかわし、フィリピンの法律上は夫婦になれた何度目かの訪比のとき、結婚式を挙げるよりは記念になるものにお金を使おうと、おそろいで腕時計を買ったのだった。

支払いはカードだったっけ、ショッピングモールの時計屋さんでオメガの時計を購入した。

帰りの飛行機はまだ一人での帰国だったけれど、初めての高級時計にしょっちゅう眺めていたっけ。

その後何度もオーバーホールしたり修理したりと、気づいたら人生の半分以上の付き合いになっていた。
image

金属製のベルトはすでに伸びきっていて、安いナイロンのベルトで最近は使っていた。
白い文字盤にはカレンダーやら曜日やら、いろいろな表示がついていて、以前に書いた『椅子のあるエレベーター』に出てくるお金持ちのおじさまが興味深げにしげしげとみていろいろと尋ねられたことがあった。

「それはオメガのクラシックモデルですか?いいですねー」ちょうどその時は伸びきったオリジナルのブレスレットの代わりにワニ革風のイミテーションのベルトを着けていた。

そのおじさまは金無垢のロレックスをしていたのだが「これと交換しませんか?」といわれないかというはかない期待は起こらなかった。はは

そうこう長年付き合ってきた腕時計だけれど、白文字盤に上品な針はすでに結構老眼が進んだ私には、カレンダーはおろか時刻を読むのも怪しくなってきていた。大学生になった息子が少しそういうものに興味を持ち始めたのもあって、息子に引き継いでもらうことにした。

で、代わりに今しているのが例の偽ロレックス。
image

何度か止まったこともあったけれど、ガチャガチャやってるとよみがえる。
時刻合わせに竜頭を引っ張ると文字盤全体が動くのも相変わらず笑わせてくれるけれど、時間がそれほど狂うわけでもないし、なにより老眼鏡なしで時間がわかるのと、文字盤の周りのベゼル?が仕事の時に経過時間を計るのに重宝している。

ただ一つ困るのが、周りの人に結構注目されてしまうようで、「いい時計してますねー」とよく言われる。
この間はオリジナルのロレックスをしている歯医者にまで「ストラップもおしゃれですねー」といわれてしまった。

いわれるたびに「いやいやパチモン、パチモン」というのだけれど、困ったことに誰も信じてくれない。

困窮邦人一歩手前といっても誰も信じてくれなくなってしまう。

もとは金属のブレスレットだったのだけれど、サイズ調整してもちと大きいのと重くて当たると痛いので、以前に使っていたナイロンのストラップにかえたら軽くてフィットするし、今ではちとお気に入りなんでどうしようか・・・