古巣の技工所に戻って1ヶ月。

しばらく遠ざかってたストレスがそろそろ思い出される頃・・・

その技工所は昨日からチームビルディングという名の慰安旅行で明日まで閉店。

私はめんどくさいのでばっくれた。

皆の衆が旅立った後、受付嬢から電話がかかってきた。

「申し訳ありません、お願いがあるんですが・・・」

どうやら出発前のどさくさで歯医者に届ける荷物を2軒間違えて届けてしまったらしい。

もう皆さん南海の島に到着してしまっているので、私にしか頼めないということらしい。

間違えて配達された歯科医院が一軒はマニラ市内だけれど、もう一軒が問題でダバオという別の島のクリニック、しかも患者さんは旅行者で、帰る日程があるため予約変更がもはやできない。

マニラ市内のクリニックに荷物を取りに行って、空港から直接カーゴでダバオに送れとの指令。

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写真の入れ歯は関係ないけど、まあこういうものを作って配達するのが技工所の仕事。

ダバオの患者さんの症例がなんだったか知らないけど、仮にこういう総入れ歯のケースで、誤配のため間に合わなかったりすると、患者さんは歯無しのままフガフガと旅立っていかなければならないのか。

幸い市内のクリニックは私の自宅から近かったので、のこのこ出かけていった。

普段は会社支給のポロシャツ着たメッセンジャーが集荷や配達するところに、国籍不明のどうやらフィリピン人じゃなさそうなおっさんが入ってきたので、受付のババアが不審がっている。

「ラボのオーナーの方ですか?」と聞かれたけれど

「いえ、新しく入ったメッセンジャーです、よろしく!」と爽やかにこたえたつもりだけど、ずーっと不信感丸出しの顔だったな。

受け取った荷物を今度は空港のカーゴステーションに持っていく。

ここは何度か利用したことがある。

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こういうところね。

ここは手続きであちこちいかないといけないし、待ち時間も長いんでめんどくさい。

途中荷物の中身の検査もあって、警官が常駐している窓口でスタンプをもらわないといけない。

「中身はなんだ?」と赤ら顔の警官がたずねてくる。

聞く前に開けてチェックしろよ、と思うけど何かにつけメンドくさがりなんだなこちらの人たちは。

「デンタルの歯型が入ってる」とこたえると

「歯医者さんなの?」と微妙に態度が変わった。

こちらの人は社会的な肩書きや身分で対応が変わるのでめんどくさい。

医者、歯医者だと対応も丁寧になるけど、ここで「いやデンタルテクニシャンだ」と答えたらまたその説明をさせられかねない。

早く終わらせたいのもあって「あーそうそう」とこたえたのが間違いだった・・・

赤ら顔の警官はカウンター向こうから出てきてわざわざ私の横に近づいてくる。

「ちょっと聞きたいんだけど、おれ高血圧なんですよ。歯を抜くのはどうすればいい?大丈夫?」

そういえば医者とか弁護士は、周りに色々アドバイスを求められたりでめんどくさいんだと聞いたことがあったっけ。時すでに遅し・・・

「それはかかりつけの歯医者さんと相談してねー」と逃げるのだけど、それでも色々聞いてくる。

「あのねアシタバって葉っぱ知ってる?そうそう、それの葉っぱを1日一枚食え」

その後も「どうやって食べればいい?すりつぶすの?水はどれくらい混ぜるの?」と聞いてくるんだけど、まあ薬じゃないし葉っぱなんで

「まずくはないからそのままでも食べれるよー」とかテキトーにこたえて逃げてきた。・・けど、後から考えたらアシタバは糖尿病にいいんだったっけか?